横浜中華街の風土記

  • 野村ゼミ

野村ゼミCチーム
氏家 士富子
佐藤 桃佳
福田 一夫
前田 紋子
山田 賢治
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中国を想い起こさせる文化を満喫できる、横浜中華街。観光地としての魅力だけでなく、街の160年の歴史を知ることで、グローバル化における地域と人びとのあり方を考えるヒントが得られるのではないか―。このような期待を込めて、横浜中華街を研究対象とした。

本研究の問いは「『生存戦略』と『伝承母体の維持』をどのように両立させていけばよいか」とした。フィールドワークや文献調査などを通じて、メンバー5名の独自の視点を統合し、問いの答えを導き出した。

図1 研究の概要

本研究で明らかにしたことは、
(1)伝承母体の維持⇒生存戦略
(2)伝承母体の維持⇐生存戦略
(3)”横浜中華街人”としてのアイデンティティ である。

”横浜中華街人”とは、ルーツや国籍にかかわらず、横浜中華街をふるさととして大切に想う人びとの集団で、調査結果をもとに本チームで提案するものである。

図2 研究で明らかにしたこと

また解決策として、以下の2つを提案した。
(1)”横浜中華街人”のための手引き
(2)横浜中華街文化振興協会

図3 解決策としての提案

『”横浜中華街人”のための手引き』とは、新たに街で生業を持とうとする人へ向けたものである。私たちが研究によって発見したことや感じたことを、「横浜中華街が将来にわたって魅力ある街であり続けてほしい」という期待を込めて記した。

図4 『”横浜中華街人”のための手引き』全43ページ、以下一部抜粋

最後に、横浜中華街を「地域研究する」とはどういうことだったのか、私たちの考えをまとめる。

この街は『グローバル化を生きぬく作法としての地域学』の身近なフィールドであったといえる。
図5のキーワードは、中華料理を食べに行くだけではわからない、関わることで見えてきた中華街の本質と考える。ここでは一人ひとりが多様で複雑なルーツを持ち、政治的イデオロギーや世代の違いで大小様々な衝突がある中で、融和を図り、街として今も変わらず多くの人を魅了し続けている。
このプロセスは、今日の日本の課題である多文化共生の地域づくりや、対立や紛争を抱える世界にとっての学びとなるであろう。

図5 まとめ