家庭における無意識の食品ロスを削減する介入のデザインと評価
- 社会デザインユニット
早川ゼミ 社会デザインユニット Dチーム
山城 恭子
山本 篤毅
下田 剛士
村下 美香
木村 浩明
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1.研究背景と問題定義
日本の食品ロスは年間464万トンにのぼり、約半数が家庭から排出されている(1)。要因として過剰除去(2)が54%を占め、その多くは野菜類である(3)。
先行研究では、野菜の可食部の除去原因として無意識的な除去が最も多く(4)、食材を使い切る意図と実践との乖離が大きい(5)と指摘されているが、無意識な過剰除去を削減する施策については検討されていない。
家庭の食品ロスを削減するためには、一部の高関心層に限られない様々なアプローチが必要(6)であることから、本研究での問いを「家庭において、野菜の可食部を無意識に除去し過ぎる調理行動を抑制するためには、どのような取り組みが有効か?」とし、観察結果から設定した仮説(図1)に基づき、問題定義を「知らず知らずに過剰除去する人が、過剰除去に興味を持つためのデザインとは?」とした。

2.創造視覚化・プロトタイプ
問題定義に基づき、家庭において日常的に調理行動を有する人に対して野菜の入手時に情報提供ができるパッケージに着目し、プロトタイプを作成した(図2)。

3.テスト
2025年11月から12月に、プロトタイプによる野菜の過剰除去に対する意識及び行動への影響を評価するため、「顔とメッセージつきパッケージ」と「無地パッケージ」を比較するテストを実施した(図3)。

4.結果と考察
全体の結果:
除去重量はA群11.9±1.6g、B群14.9±2.7gであり、A群で低い傾向がみられた。
意識及び行動の変化は、アンケートで5(とても変わった)から1(全く変わらなかった)まで5段階で回答してもらい、意識変化スコアはA群が3.2±1.7、B群が2.2±1.5であり、A群ではB群に比べ有意に高かった。一方、行動変化スコアはA群が2.7±1.3、B群が2.2±1.6であり、両群で有意な差はみられなかった(図4)。
A群の結果:
A群の61.5%(8/13名)の意識が変わり、30.7%(4/13名)は行動も変化した(表1)。
また、84.6%(11/13名)が、調理までパッケージのまま保管していた。
無意識層の結果:
A群の46.2%(6/13名)では「いつも無意識で剥いている」「考えずに切っている」など、日常の無意識な調理行動が推測された(無意識層)。
意識変化は「無意識層」で83.3%(5/6名)に、「その他層」で42.9%(3/7名)にみられた。また、行動変化は「無意識層」で50%(3/6名)に、「その他層」で28.6%(2/7名)にみられた。
結果に基づく考察を図5に示す。



5.結論と課題
「顔とメッセージつきパッケージ」による調理行動前における野菜の可食部の学習が、トランスセオレティカル・モデルの「無関心期」から「関心期」への移行に有効であった。
今後は、意識変化の機序や意識と行動の差異についての検討や、バイアスの少ない環境における評価が求められる。また、過剰除去の削減効果が大きくなるように、情報提供の手法には改良の余地がある。