農家と消費者をつなげる無人販売所のコミュニケーションデザイン

  • 早川ゼミ

早川ゼミAチーム
小池 りつ子
杉浦 俊太郎
新城 香
服部 貴哉
大久保 達真

地方を支える農家を応援するため、農家のストーリーを伝え、農家と消費者のコミュニティを作りたいと考えた。

まず観察・共感・洞察では、農家と消費者584人にアンケートを実施した。74%がそのようなコミュニティに参加したいと回答した。次に、農家にインタビューを行った。「作物をつくるだけで精一杯。消費者への発信まで手が回らない」という声に共感した。そこで、消費者との接点として、手間のかからない無人販売所の可能性に着目した。

問題定義では、「農家と消費者をつなげる無人販売所のコミュニケーションデザインとは?」という問いを設定した。

創造・視覚化では、農家と消費者が互いにメッセージ送るコミュニケーションメディアとなる無人販売所を視覚化した。そこでは、①注意、②興味)、③欲求、④行動、⑤共有の5段階(英語の頭文字を取ってAIDASと呼ぶ)のコミュニケーションを通じて、農家と消費者をつなげる。

プロトタイプについては、群馬県渋川市、岡山県備前市、沖縄県那覇市でテストした。消費者の注意・興味・欲求を喚起するため、無人販売所の看板、土台、ストーリーやイラスト入りのパネルをデザインした。行動では、料金箱にお金を入れる際に、農家に伝える気持ちの言葉を選べる。また、ポストカードやQRコードで、他の消費者や農家と気持ちやメッセージを共有できる。

評価と改良では、消費者の行動やインタビューを分析し、改良した。消費者は無人販売所をコミュニケーションメディアとして利用し、農家にメッセージを送ることが確認できた。農家からは、「これだけ売れると思わなかった。」「消費者の声が分かるのはとても嬉しい。」との声が聞けた。

以上の成果をまとめ、農家や支援者が簡単に無人販売所を作成できるマニュアルとツール群を整備した。

本研究により、無人販売所をAIDASで構成するデザインの有効性が確認できた。この無人販売所は、接客やECとは異なる有効なコミュニケーションメディアとなると考えられる。

図ー1、AIDASで構成されるコミュニケーションデザイン
図ー2、岡山県備前市での無人販売所プロトタイプ
図ー3、沖縄県那覇市での無人販売所プロトタイプ
図ー4、農家に伝える気持ちの言葉を選べる料金箱