達成経験に伴う自己変容-KICKOVER®︎-の学習デザインとその効果
- 早川ゼミ
早川ゼミBチーム
濱田 織人
黄 郁旋
日下 怜
山田 剛
森 美保子
初めて逆上がりが出来た時や自転車に乗れた時の強い喜びや達成感を記憶している人は多い。その時に感じる強い達成感は一時的なものではなく、「運動に対する苦手意識が軽減する」、「自己効力感が高まる」などの変容を伴うと考えた。そこで我々は何らかの目標を達成した際の強い達成経験とそれに伴う自己変容までの一連の流れをKICKOVER®︎(逆上がり)効果と命名した(図ー1)。そしてKICKOVER®︎効果が実在する事の証明と、その効果の再現を目的として研究を行った。
我々は研究を始めるにあたり、学習を続ける人を増やす事ができないかという課題意識を持っていた(図ー2)。新しく学習に取り組む人を増やすためには、学習に対して前向きな人を増やす必要がある。KICKOVER®︎効果を実装した学習モデルを提案する事ができれば、多くの人が達成経験に伴う自己変容を経験する事ができ、その結果としてさらに学習に取り組む人を増やす事ができるはずであると考えた。
先行研究調査(図ー3)と自身らの学業場面における感情分析(図ー4)、22人の児童が参加する3泊4日のキャンプへの非参与観察と保護者へのアンケート(図ー4)、成人へのアンケート調査(図ー4)を通し、達成経験と自己変容はそれぞれ独立したものではなく、強い関係性がある事を見出す事が出来た。そして達成経験に伴い自己変容が起きるその過程をKICKOVER®︎ラーニングモデルとして定義する事ができた(図ー5)。
最終的にモデルを実装したプロトタイピングを合計10回、37人に対して行い、それを踏まえた本調査を行った(図ー6、7)。本調査では強い達成経験を観察することができ、2週間後のアンケート調査でも自己変容をすべての参加者が維持している事が観察できた。
我々は本研究の結果として、KICKOVER®︎効果を汎用化した学習モデルを定義し、達成経験に伴う自己変容を実装した学習デザインが可能である事を明らかにする事ができた。