就職活動生の内省を促す対話カードの開発 ー聴き手のインストラクションを改善するー

  • 大学院研究員

青山 春華
三國 信夫
臼井 真由美
奥井 伸輔
瀬戸 亜美
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2021年度に就職決定時の内定先に満足できない大学生の不本意就職について調査したところ、本意就職群が就職活動を通じて、自らの内省や他者からの助言を契機に、志望する業界や企業規模を柔軟に変化させる一方で、不本意就職群はそういったことが少ない傾向が見られた.そこで、不本意就職の解消を期待して、就職活動生の対話と内省を促すため、一般的にコミュニケーションツールとして有効とされる対話カードに着目.希望通りの就職決定ができない不本意就職を減らすことを目的として、デザイン思考のプロセスに則って就職活動生の内省を促す対話カードの開発をした.開発したカードを用いて筆者らが聴き手となり、就職活動生と対話を行ったところ、被験者の大多数について、内省の深まりが見られた.ただし、2021年度の研究は、聴き手である筆者らが対話カードの使用方法や開発目的を理解していることを前提としており、研究員以外が聴き手になることを想定していない.
2022年度は、対話を就職活動生同士でも行えるよう、あらかじめ対話カードの使用方法や目的を理解していなくても使用できるデザインに変更するとともに、傾聴などのスキルが無い者でも話し手に内省を促すことができるよう対話カードに改良を加えた.改良の過程では、プロトタイプテスを複数回実施し、就職活動生の声を反映するとともに、デザインについてもデザイナーの協力を得た.この改良した対話カードを用いて効果検証を行った結果、全ての被験者で一定の内省の深まりが見られた.このことから、就職活動生同士でも十分に対話ができ、かつ内省を促す結果を得られることがわかった.

研究活動と成果

日本教育工学会2022年秋季全国大会にてポスター発表

今後の研究活動

社会実装に向けて具体的な方法の検討などを予定