伊那谷 水の風土記
- 野村ゼミ
野村ゼミBチーム
吉田 真太
土田 智
稲墻 聡一郎
前田 喜久子
竹内 慎一
佐藤 綾花
【概要】
本研究は長野県伊那谷地域における風土や文化資産を風土記として編纂し、文化資産の利活用を考察したものである。
【風土記】
同地域の風土形成には「水」が強く影響しており(図1)、当該影響が特に顕著な天竜川と三峰川の合流地点を中心に「水の風土記」を制作した。調査過程で治水・利水、食・工芸、祭祀、産業、地域社会等各分野で水に関連する文化資産が多数確認された。
【個別研究】
地域全体については前田と稲垣が研究した。前田は地域コミュニティの希薄化について、「流域」という概念を用いた地域の再定義を提案し、流域を意識化する一案としてすごろくゲーム(図2)を制作した。また、稲墻は「視点の違い」に着目し、その原因を明らかにするとともに三峰川という文化資産を通じて自分と地域を再発見する具体的な方法を提案した。
佐藤、土田、吉田は個別文化資産の利活用を検証した。佐藤は水生昆虫食「ザザムシ」文化をリプロデュースし、文化継承と地域産業の活性化を目的とした好循環モデルを提案した。商品化を目指したレシピ開発、キャラクター化、グッズの制作と販売を行った(図3)。また、土田は市民主体の小さなコミュニティの持続について、情報化と直会性の観点から人々の集う「場」に注目し、維持に必要な諸要素を相互扶助的に補完する融合策を提案した。吉田は艶三郎の井等が灌漑施設としては現在も活用されている一方、その意味的価値が十分活用されていない点を課題視し、カードゲーム『伊那谷豪傑伝 あばれ天龍』 (図4)を制作して意味的価値の利活用を提案した。
一層の応用のため、竹内は従来の調査や分析から始める手法ではイノベーティブな価値創出に課題があることに着目した。そのため直感や妄想を起点としたアイデア創出プログラムを伊那谷の文化資産「信州経木」を題材に開発、その可能性について検証した。
【まとめ】
上述の提案群が文化資産に対する地域住民の距離感や無関心を改善し、他地域においても同様に応用されることが期待される。