まちへの関係人口を促すための参加のデザインに関する研究

  • 早川ゼミ

早川ゼミDチーム
河﨑 太平
大司 奈緒
平川 幹子
水谷 光佑
村上 泰介
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「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す。近年、地方自治体の課題解決の一助として関係人口を増やす取り組みが注目されているものの、自治体独自の施策は少ない。一方、人生百年時代の到来より生き方への意識が多様化し、職場や家庭以外のサードプレイスを求める動きが顕在化している。人々が関係人口としてまちに関わることは、まちと人双方にメリットがあると考えられるものの、双方をつなぐ取り組みは半ばである。
本研究において、関係人口に関する先行研究および独自に行ったアンケート・インタビュー分析を行ったところ、時間的制約や負担感、まちの具体的情報不足等、人がまちに関わる初期段階に特に課題があることがわかった。そこで、「良い関係人口になるための、まちへの参加のデザインとは?」の問いを定義し、それに応えるプロダクトとして「まちRPG」を考案した。これは、関係人口になる初期段階のプロセスにロールプレイングゲーム(RPG)の要素を取り入れ、設定されたクエストをプレイヤーが攻略する体験を通じて、自然とまちとの関わりにおける課題を解消し、またまちと関わるためのキーマンとの出会いのきっかけを促進するものである(図1) 。
福岡県古賀市にて、それぞれ6名、4名を対象にまちRPGβ1版、β2版の検証を行ったところ、まちに対する段階的な心理状態について、β2版では実施後全員がより関係が深い段階に進んだ。また直接寄与型の関係人口候補として4名中1名が該当した。これにより、まちRPGが関係人口の増加に寄与できることが示唆された(図2)。
最後にカスタマージャーニーマップを作成し、まちRPG全体構成とプレイヤー、地域住民、自治体向けのプロダクト案を作成した(図3)。
今後は、ゲーム性の拡充や実施規模を拡大した効果検証や効果の持続性の検証等を行う必要があると考えられる。