デザイン思考プロセスにおける手描きポンチ絵の可能性
- 大学院研究員
桑原 隆彰
早川 克美
浅井 由剛
研究概要
本研究は、チームワークで行うデザイン思考のプロセスにおける、手描きポンチ絵のコミュニケーション面の役割と可能性に焦点をあてている。まず、ポンチ絵の語源と事例から、読み手へ意図的に余白や含みを持たせてメッセージを伝えられるツールであることを示した。さらに大学院チーム研究での観察から、手描きであるポンチ絵のラフさゆえ、何かしらの余白が存在し、提示された側に好奇心を芽生えさせる資性を持ち合わせていることを見出した。また、小川(2005)の面白さと情報負荷の関係図をもとに、INTERESTとCURIOUSの関係性と、さらに好奇心におけるピアジェの理論「不整合」とローウェンスタインの「情報の空白」との高い相関も明らかにした。最終的には、その相関関係と手描きポンチ絵の資性、「足りない」情報のズレから、創発的行動を内包しうる手描きポンチ絵の構造を導き出し、デザイン思考プロセスにおいて初動から、手描きポンチ絵でコミュニケーションを行うことは、「足りない」情報のズレにより創発的行動を誘発させ、チームの意識共有に有効であることを示した。
研究活動と成果
日本デザイン学会 第71回春季大会 口頭発表
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssd/71/0/71_2/_article/-char/ja
今後の研究活動
1)デザインマネジメントの研究
2)デザインの思考プロセスにおける知的好奇心および創発的行動の研究