移住者が地域とつながるきっかけのデザイン

  • 大学院研究員

室越 礼一
岩佐 まゆみ
小野 正太
坂本 規孝
佐竹 隆

研究概要

 本研究の目的は、地域とつながりたいと考える移住者が、地域のコーディネーター「つなげびと」と出会い、人間関係を構築するための場としてデザインしたワークショップ(以下、WSという)について、那須塩原市での継続開催と、他地域で同様のWS開催を試み、それらを検証することにある。
 日本社会の少子高齢化による急速な人口減少に伴い、住民同士のつながりが希薄化し、地域コミュニティの衰退から孤独や孤立が新たな社会課題として注目されている。そこで我々は、既に地方に移住し、地域の新たな住民として生活する方々の現状に焦点を当て、2023年4月〜2024年2月の間、修士研究「移住者が地域とつながるきっかけのデザイン」に取り組んだ。開発したのは、地域のモノ・コトにまつわる情報を参加者同士が出し合い、新たな移住希望者へ向けた情報紙面づくりを行うWSである。その過程を通じて、地域とつながるためのコーディネーターの役割を担う「つなげびと」と移住者たちが互いに信頼関係を構築し、地域とのつながりを実感できるようになることを目指した。
 奈良県吉野町ではトライアルを、栃木県那須塩原市では行政とも連携し、実際の「つなげびと」と移住者を募ってテストを実施した。事後アンケートの結果、WS参加後に移住者の地域浸透度が上昇していることがわかった。このことから、開発したWSに参加することで、地域とのつながりの浅い移住者が地域と馴染み、地域とつながるきっかけが得られたと結論づけた。
 しかし、2023年度はまだ2回しか開催しておらず、精度の高い検証を行う為には、さらに回数を重ねてWSを開催する必要があったそこで2024年度は、那須塩原市で今後も継続して開催できるWSのデザインを試みるとともに、研究成果を2025年2月開催予定の公共コミュニケーション学会で報告した。

研究活動と成果

那須塩原市でのワークショプ開催(2024年7月20日、2024年11月16日)、公共コミュニケーション学会第11回事例交流・研究発表大会口頭発表(2025年3月1日)

今後の研究活動

自治体の要望を踏まえて、那須塩原市でのワークショップ開催を継続する。加えて、ほかの自治体での実施可能性を検討する。