遊びごころを共有するためのコミュニケーションデザイン
- 早川ゼミ
早川ゼミFチーム
玉木 愛実
米田 あゆ
井村 理絵
吉田 圭介
小川 晋平
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日本は経済的に豊かであるにもかかわらず、日本人の幸福度は他国と比べて高くない。一方、遊びごころが人間の心理的・身体的状態に影響することが研究されている。そこで、遊びごころを持つことが幸せにつながるのではないかという仮説を立て、遊びごころと幸福度の関連性を調査した。
Webアンケート調査の結果から、遊びごころ尺度(宮戸、2014)の一つである「物事を楽しもうとする姿勢」と、幸福尺度(前野、2013)の一つである「つながりと感謝を示すありがとう因子」の間に正の相関を見出した(図1)。また、ヒアリング調査から、誰もが遊びごころを持っているものの、両尺度の高い人ほど他者のために遊びごころを発揮する傾向があった。さらに、多くの人が初対面の場で遊びごころを発揮しづらいと考えていた。以上より、遊びごころを他者と共有することが良い人間関係につながり、人々の幸福度が高まるのではないかと考え、初対面の場において遊びごころを共有するコミュニケーション方法としての手みやげを開発することにした。
手みやげを渡す際に言う「つまらないものですが…」の決まり文句を逆手に取り、相手への想いを遊びごころで表現する「つ〇(つまる)」ブランドを考案した。プロトタイプ1では、相手に対する「ありがとう」の気持ちを、蟻をモチーフにした3種類の言葉遊びでデザインし、対話が生まれるようにした(図2)。しかし、初対面の相手に渡す際に、渡し手が緊張して遊びごころを持てないという課題が生じた。そこで、「つ〇」ブランドのコンセプトを「つまる想いを、あの人に」に改め、初対面に限定せずに、気持ちを伝えたい人に会うためのきっかけとなるように、デザインをシンプルにしたプロトタイプ2を制作した(図3)。プロトタイプ2を持って会いに行ったところ、受け手は「嬉しかった」(87%)や「遊びごころを感じた」(73%)などの感想を持ち、さらに9割以上の人がこのような手みやげをもって誰かに会いに行きたいと回答した(図4, 5)。
以上より、遊びごころを持って誰かに会いに行くことは、良い人間関係構築のきっかけとなることが示唆された。今後は、このような行動を拡げるため、「つ〇」ブランドを幅広いアイテムに展開していく予定である(図6)。